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翻訳には技術が必要

• 通訳の技能と同様、翻訳もただ英語ができるというだけでこなせるものではありません。
• 英文法の完全理解は不可欠です。崩した意訳でも、文法の裏づけが必要です。

直訳は誤訳。

翻訳された文章で、読んでもなんだかよく分からない、これだったら翻訳する前の英語で読んだほうが分かりやすいんじゃないか？と思わせる文章に出会ったことはありませんか？　日本語に直したらかえって分かりにくくなったというのでは、本末転倒。その原因は、直訳に近い形で英語を日本語に置き換えているところにあると思われます。翻訳はただ単に日本語に置き換えていく作業ではありません。通訳と同様、これにも特別な技術が必要です。

辞書の語義だけでは訳せない。

以下の英文の訳を考えてみましょう。

• Historically, the PC industry has concentrated on creating a more powerful PC at a particular price.
• (誤訳例) 歴史的に、パーソナルコンピュータ産業は、特別な値段でより強力なパーソナルコンピュータを作ることに集中してきた。
  • （考え方）まず、historically の訳語。確かに、英和辞典には「歴史的に、歴史上」とでています。（それ以外の訳語はのせられていない。）　しかし、この文脈でその意味に訳して、意味が通じるでしょうか。particular を「特別の」と訳したのは、語の意味をきちんと捉えていないことから生じたミス。particular の意味は「特定の」という意味です。また、powerful に「強力な」という訳語をあてたのもどうでしょう。日本語でパソコンを形容するとき、「強力な」という言葉を使うでしょうか？
• (訳例) 従来、パソコン業界では、特定の価格でより性能の良いパソコンを生産することに力を入れてきた。

• Another key aspect of Amish life is their refusal to use modern conveniences like electricity, motorized vehicles, television, radio, and telephones.
• (誤訳例) アミシュの生活の別の鍵となる側面は、電気、車、テレビ、ラジオ、電話といった現代の便利さを使うことへの彼らの拒絶である。
  • （考え方）まず、their refusal を「彼らの拒絶」と訳したところがいかにも直訳的。このような場合、名詞を動詞的に訳すとうまくいく場合がある。mordern convenience を「現代の便利さ」と訳したところも、もう一工夫が必要。
• (誤例) アミシュ族の生活のまた別の重要な側面は、電気、車、テレビ、ラジオ、電話といった文明の利器の使用を、彼らが拒んでいることである。

背景文化の理解も必要